(14)保護されていた『鴎』・・・ウミネコ
1)ウミネコの繁殖地・・・御厳島(みいつくしま)
万葉集に詠われたこの列島の都『やまと』は、『邪馬台国』でもあり、今で言うところの出雲にありました。そして、第2首も出雲で詠われたというところにたどり着くことができました。
では、第2首のキーワードは、間違いなく出雲に存在していたのでしょうか。まずは、『あきづ島』と、『煙』は、確かに存在していたと考えられます。そして、島だったということは、海もあります。
そうなりますと、あとは、『鴎』と、それらを一望に見渡せる『天の香具山』がどこにあったのかということになります。
その後、調べていますと、日御碕神社の向かいに、ウミネコの繁殖地でもある経島(ふみじま)という島があることが分かりました。古来より、その島は、御厳島(みいつくしま)とも呼ばれ、禁則地としてそのウミネコが保護されてきていることも分かりました。そこは、日御碕神社の神官が年に1回の例祭の時にだけ入ることしか許されていません。ウミネコといっても、鴎科の鳥ですし、鴎とどう違うのかも良く分かりません。今は、ウミネコと分類されているのかもしれませんが、古くは鴎と呼ばれていたとも考えられます。また、ひとつ手がかりが出てきました。
ただ、『天の香具山』につきましては、どこにあるのかと言っても、ひとつひとつ山を登って確かめる訳にもいきません。
ということで、まずは現地に行ってみるしかないと、出雲へ出かけることにしました。
(06,3,30 14:38 日御碕灯台付近より御厳島を望む)
映像からは、よく分かりませんが、島の上全体がウミネコの集団でびっしりと覆われていました。12月頃におよそ5000羽が飛来し、4月頃に産卵しヒナをかえし、7月頃には北の海へ向けて飛び去っていきます。
(06,2,22 12:36 日御碕神社向かいの御厳島からおよそ5km離れた『稲佐の浜』に、数え切れないほどのウミネコが飛来していました。)
2)第2首で詠われた鴎・・・ウミネコ
元は、御厳島に日御碕神社の『日沈宮』があり、この島は古来より奉られてきていました。8月7日の例祭の時に、神職のみ渡ることができるだけで、それ以外の日は誰一人として立ち入ることはできません。そのようにして、ウミネコの繁殖地が保護されてきています。
つまり、万葉集第2首に詠われていた鴎は、このウミネコだと考えられます。一見して、鴎もウミネコもその違いはよく分かりませんし、ウミネコも鴎科の鳥で、旧くは鴎と呼ばれていたのでしょう。そして、当時は島だったあきづ島を、鴎でもある、今で言うところのウミネコが飛び交っていたことでしょう。
『鴎』も特定でき、残るは、いよいよ『天の香具山』だけとなりました。
果たして、見つかるのでしょうか。
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